“上”から見る『ラブライブ!』

一コンテンツとして、とてつもない大きさとなった『ラブライブ!』 故に起こる様々な論争、問題を、広い視点…つまり“上”から見てみたらどうなる? アイスコーヒーでも飲みながら、ゆったり語る。そんなブログです

Aqours“メンバー” 伊波杏樹様へ

早苗さんが…言ってた。泣いていいのは、おトイレか、パパの胸の中だって…

CLANNAD AFTER STORY 18話 岡崎汐

 

もう、人前では泣かないって決めた。

だから涙なんて流すもんか。零すもんか。

 

そんな自分を誤魔化すように、笑って見せた。

ありったけの悔しさを込めて、叫んでみた。

 

……ダメだ。見せちゃいけない。

みんな最高の笑顔で、応援してくれているんだから。

 

――俯いたその時、確かにその瞳から

大粒の涙が零れたのを、見逃さなかった。

 

MIRACLE WAVE 1日目

3rd LIVEが始まって、曲が進んで。

MIRACLE WAVEが披露される直前のアニメ映像が流され、ステージ上にマットが敷かれた。

その光景を目にした時、思わず両手に力が入って、ブレードの電池蓋がミシッと音を立てるのを感じた。

 

やるつもりなんだ、本当に。

起こす気なんだ…奇跡を。

 

――1日目、MIRACLE WAVEで伊波さんがバク転を決めた時の歓声は、おそらく今後しばらく頭から離れないことだろう。

やっぱりすごいや、伊波さんって。

全力で 「ありがとう」 って叫んだ。素晴らしい景色を見せてくれて、ありがとう。伊波さんの力で、MIRACLE WAVEは成功に終わった。

 

伊波さんの力で

私は一瞬でも、そう思ってしまった。その考えを改めてくれたのは、他でもない伊波さんだった。

 

9人Aqours WAVE完成させたぞー!!」

「これがAqoursのパワーだー!!」

 

なんで。なんでそんなこと言えるんだよ。

あの大技を決めたのは、紛れもなく伊波さん、あなたじゃないか。想像を絶する期待を背負って、それでも尚果敢に飛び込んで、成功させてのはあなたじゃないか。

ずるい。伊波さんのこういうところ、本当にずるい。

 

そうだ。あの曲は、伊波さんだけのための曲じゃない。Aqours全員の想い、ファン全員の期待と願いをのせた曲なんだ。

 

あの挑戦は、伊波さんだけじゃなくて、ファンまでひっくるめての挑戦。

だから、余計に失敗できないって思ったかもしれない。でも伊波さんは応えてくれた。

私達も、全力で応えた。オレンジ色の光と、精一杯の歓声で、伊波さんを祝福した。

 

みんなで叶える物語

そんなテーマがあるこのコンテンツだからこそ、生まれたステージ。

あの瞬間は正しく、奇跡の光景だった。

 

…2日目、私は油断していた。

伊波さんは、絶対にやってくれる。

あんなに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、Aqours WAVEを完成させてくれたんだ。

だから、今日も絶対大丈夫。

ブレードの電池蓋も、その日は音を立てなかった。

 

むしろ逆だった。

あの光景”を見た時、私はブレードを持ってる感覚さえ、失ったんだ。

 

MIRACLE WAVE 2日目

着地がよれた。たったそれだけ。

大きな怪我もしなかったし、ライブの進行が止まった訳でもない。本当に些細な失敗なはずだった。

それなのにあの瞬間、不安で不安で仕方なかったのは、その失敗をしたのが、伊波さんだったからだろう。

 

背負っているものが、あまりにも大きすぎる。

 

もしかして、自分を責めてはいないだろうか。

踊りながら、心の中でみんなに謝り続けてはいないだろうか。

そんな必要、無いのに。

あのとき、あの場にいた全員が感じた不安は、それによるものだったと思う。

 

MCが始まって、その不安はさらに増した。

 

笑顔だったから。だからこそ、逆に不安になった。無理をしてるのが、嫌でも伝わってくる。

 

ごめーん!」と明るく謝って、俯いた時。

大粒の涙が、たったひとつ、零れて落ちた。

 

それだけ。伊波さんが見せた涙は、たったそれだけ。

それでも僕は、たまらなく嬉しかった。とても安心した。伊波さんが我慢せず、“自分自身のための”涙を流してくれたのが、とても嬉しかった。

 

伊波杏樹

伊波さんは、人のために頑張りすぎていたと思う。

「ファンのみんなが期待してるから」

「リーダーとして、頑張らなきゃ」

「支えてくれるみんなを、助けなきゃ」

そこが伊波さんの素敵なところだと思うし、もしかしたらそうやって動くことこそが、伊波さんの“やりたいこと”なのかもしれない。

 

あの涙は、伊波さんが心の底から『悔しい』と思って流した涙だった。

今まで、伊波さんの姿って、実はあまり見えていなかったのかもしれない。どうしてそんなに頑張れるのか、どうして人のために、そこまで努力出来るのか。

 

現実味がなかった。まるで、アニメの熱血キャラを見ているようで。

あの涙で気付けた。伊波さんだって私たちと同じように、悩んで、苦しんでいる。

悔しい時は思いっきり泣いたっていい。誰かの胸の中でも、人前でも。

 

ステージ上で誰かに何かがあったら、必ず私が助けに行く」って人だもん。

ならあなたに何かあった時くらい、私たちにも助けさせてくれ。そしてあなたも、そこに体を任せてほしい。

 

あなたはAqoursリーダーだけど、それ以前に1人のメンバーだ。あなただって、誰かに助けてもらっていいんだ。

 

いつか、あなたが私たちの前で思いっきり泣く日が来るだろうか。泣いてもらえるだろうか。

 

あなたが安心して涙を流せる拠り所はどこにあるだろう

もし叶うのなら。そのひとつに、私はなりたい。

 

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〜終〜

 

 

補足:当記事で書いた伊波さんの心情などは、すべて私の「もしかしたらこうじゃないか」という勝手な憶測です。ご了承ください